第三節 虚偽表示
1,虚偽表示とは
虚偽表示とは、契約当事者が結託(グルになり)して偽の契約を結ぶことです。
例えば、こんなイメージをしてください。A太は債権者の差押(例えば国)を免れる為に、B男と結託して不動産の移転登記*(仮装譲渡と言います。試験ではこの言葉が使われますので覚えておいて下さい。)をしました。
当然後で返してもらう事前提で、しかもこれは分かりませんがB男には、悪だくみ協力のお金が支払われているでしょう。これを通謀虚偽表示ともいいます。
2,無効と取消
では虚偽表示による契約はどうなるのでしょうか?当然お分かりだとは思いますが、お互いが嘘をついてのお話なので無効です(94条1項)。
ここで無効という言葉が出てきましたが、取消とはどう違うのでしょうか?
無効は最初から契約の効力がないことです。
取消は取り消される迄は契約は一応有効ですが、取消により最初から契約はなかった事になります。
3,第三者との関係
ではその無効が第三者には通じるのでしょうか?
問題)B男がA太に仮装譲渡された不動産を善意の第三者C郎に売却した場合、A太はC郎に無効を対抗できるでしょうか?
回答)虚偽表示による無効は善意の第三者(C郎)に対抗出来ません。(94条2項)尚第三者(C郎)に過失があっても対抗できません。
問題)B男がA太に仮装譲渡された不動産を善意の第三者C郎に売却した場合、A太はC郎に無効を対抗できるでしょうか?
回答)虚偽表示による無効は善意の第三者(C郎)に対抗出来ません。(94条2項)尚第三者(C郎)に過失があっても対抗できません。
また第三者(C郎)が登記を備えていなくても、無効は対抗できません。(最判昭44.5.27)
ここで第三者の意味を見ておきましょう。善意だと無効を主張できなくなる「第三者」とはどのような人を指すのでしょうか?宅建試験では以下の2つの具体例を覚えておくだけで大丈夫です。
1,虚偽表示の目的物を差し押さえた差押債権者は第三者にあたる(大判12.2.9)
2,仮装譲渡人の単なる債権者は、第三者にはあたらない
仮装譲渡人の単なる債権者(差し押さえしていない債権者)は仮装売買された土地に対して何の利害関係もありません。
4,転得者との関係
問題)第三者(悪意)のC彦が、土地を善意のD子に売却した場合、A太はD子に無効を対抗できるでしょうか?
回答)虚偽表示の無効を、善意の転得者に対抗する事はできません。転得者も当事者以外の者である以上第三者に含まれるからです。ちなみにA太が対抗できるのはC彦もD子も悪意のある時だけです。
回答)虚偽表示の無効を、善意の転得者に対抗する事はできません。転得者も当事者以外の者である以上第三者に含まれるからです。ちなみにA太が対抗できるのはC彦もD子も悪意のある時だけです。
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