この章(代理)は情報量が多く、広範囲で出題されます。その為幅広く学習する事が必要です。1問すべてが代理の問題や、2012年には2問出題されるなど、手を抜くことが出来ない分野です。また事例形式の問題も多い為、日ごろから図を描いて問題を解く訓練が必要になります。
代理とは、代理人が本人の代わりに契約などを行うことを言います。
例)Aから代理権を与えられたBが、Aの代わりにCと契約を結ぶと、その効果がAに帰属し、AC間で契約が成立します。※BがAの代理人として結んだ売買契約を「代理行為」といいます。
民法では契約は契約を結んだ者同士の間で成立するのが原則ですが、上記の様な契約が認められるには、以下の3つの要件が必要になります。
2,代理人が代理として行為したこと
3,代理人が代理の範囲内で行為したこと
詳細は第二節・第三節で説明していきます。
代理には「任意代理」「法定代理」の2つの種類があります。
「任意代理」とは、本人が自らの意思によって、他人に代理権を与えることによって定められます。例えば、あなたが、家を売りたいと思って、契約を友人に任せたような場合が、任意代理です。
一方で「法定代理」とは、法律によって、当然に代理人となる者のことです。親権者、未成年後見人(同法839条以下)、不在者の財産管理人(同法25条以下)、相続財産管理人(同法918条・952条以下)などが民法で規定されています。
1)自己契約・・・代理人が自ら契約相手になる契約は禁止です。
2)双方代理・・・契約当事者双方の代理人として契約を成立させることは禁止です。
3)利益相反行為・・・代理人には利益となるが、本人にとっては損失になる代理行為を行う事は禁止です。
BがCから個人的に借金する際に、Aの代理人としてA所有の土地を抵当権に設定する様な場合です。
自己契約・双方代理・利益相反行為は無権代理(第四節にて説明)となり本人に効果は帰属しない。
但し,①本人の同意(承諾)がある場合・②債務の履行がある場合は有効な代理行為となります。
※②の債務の履行とは契約に基づいて発生した義務を果たす事です。
例えば双方代理の図を見てください。
この場合売買契約成立後にBが売主Aと買主C双方の代理人として、AからCに移転登記をする場合は義務を果たした事になります。
3,代理権の消滅
代理権は以下の場合に自動的に消滅します。
1)任意代理の場合
1,本人の死亡・破産
2,代理人の死亡、破産、後見開始(成年後見人になった事を意味します)
2)法定代理の場合
1,本人の死亡
2,代理人の死亡、破産、後見開始(成年後見人になった事を意味します)
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