第二章 意思表示
≪この章の説明≫
前章では民法において、一度契約をすると守らなければいけないのが原則であるというお話をしたと思いますが、この原則には例外があります。
例えば、だましたり、脅かしたりして、契約を結ばせた場合はどうでしょうか。相手側はそんな契約を守る必要があるのでしょうか。この章ではそのような例外が5つあります。これからその5つを勉強していきましょう。
この分野の問題正答率は高いので、皆さんも確実に点数を稼いでください。
意思表示は過去ほぼ毎年出題されていましたが、21年以降出題されていません。23年はそろそろ出題されそうですので要注意です!
第一節 詐 欺
1,詐欺による契約
問題)A子はB男に騙され(詐欺)A子所有の不動産を「売ります」とB男に意思表示しましたが、A子はこの契約を取り消せないのでしょうか?
回答)詐欺による意思表示は、取り消す=契約を取り消すことができます。(96条1項)
2,第三者との関係
問題)では、A子からだまし取った不動産を、B男が善意無過失のC郎に売却した場合B男との契約を取り消したA子は取り戻せる事(取消の対抗)ができるでしょうか。
回答)民法では、詐欺による取消は善意かつ無過失の第三者には対抗できないとしています。(96条2項)
つまり、C郎が詐欺の事を知らないで、且つその点に不注意もなかった場合は、A子はC郎に対し対抗できない(=不動産を取り戻せない)という事になります。
つまり、C郎が詐欺の事を知らないで、且つその点に不注意もなかった場合は、A子はC郎に対し対抗できない(=不動産を取り戻せない)という事になります。
逆をいえば、もしC郎が詐欺を知っていた、不注意があった場合はA子はC郎に対し対抗できます(取り戻せます)。※2020年の民法改正で過失があれば対抗できる様になりました。
3,第三者による詐欺
問題)第三者(C郎)がA子をだました場合(第三者による詐欺)、A子とB男との契約は取り消せるでしょうか?
回答)第三者による詐欺は、相手側(B男)が悪意又は過失がある場合は取り消せます。つまり裏を返せば、相手側(B男)が善意無過失なら取り消せません。
※2020年の民法改正で過失があれば取り消せる事になりました。
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